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女性美容師の嘆き

“ヘタクソな~、美容師の顔がツボ♪”
って、キリンビバレッジから発売中の『カフェデリ』のCM。

技術はどうあれイケメンだから、この美容師に通ってしまうってあれ。
ぶっちゃけあんなカワイイ女の子なら、どんなにヘタクソな美容師が切ったって可愛くなりますが(笑)

これはね~、ホント。女性美容師にとって“痛い壁”なのですよ(-_-#)
これ見ると、若かりし頃を思い出します。

初級スタイリストの頃勤めた美容室の、
私にとっての美容師としての心構えも技術も叩き込んでくれた“恩師”は
まだ接客も技術も心もとない私に(今も大差ないが)こう言った。

「人間ってのは異性に甘く同性に厳しい生き物だからね。美容室は大半が女性客だから、
クミ達女性美容師はオレ達男性美容師の何倍も、
技術もオシャレもしないと、客に認めてもらえない。
オレらは半分ホストみたいなもんだから、タイプだったらそれだけで客がつくからね。
でもその分、客がつく女性美容師は、オレらがやるよりよっぽどいい仕事してるんだ。頑張れよ」

口は悪いが、この恩師は本当に突っ込み所が全く無いと言っていいほど、
彼の口から出る言葉は納得させられることばかり。

例えば
「人間は生まれた時に既に各々与えられたら“レベル”ってもんがあって
もともとレベルの差があるところに同じ教育を重ねたって、
差が出て当然」とか。
ズバズバ言ってくる。

こんなんだから、お客様にも当然厳しい。
『朝起きてから何もしないでカタチになるようなラクなヘアスタイルがいい』
なんてこと言おうものなら
「美容師は魔法使いじゃないからね」と、無表情に言う。コワい(笑)
でも時々私も心の中で“あのセリフ言えたら気持ちいいだろうなぁ”と思う(笑)

話は脱線してしまいましたが、イケメン美容師の話。もとに戻すといたしまして。

その後20代後半で、スタイリスト2名(私含め)アシスタント1名の小さなサロンで、店長に抜擢されたばかりの頃。

もうその店に5~6年通っていただいてる常連さんを初めて担当した時。
この方は特に担当の指名がないため、手が空いているスタッフが代わる代わる担当していたのだが。

「いつも思うようにならない」「髪が爆発しちゃう」とおっしゃる。
それには硬く・太く・毛量が多い髪の上に、毛流に逆らったスタイルをしているという問題があった。
なので“こうすれば治まりますよ”とアドバイスしてみたが
「でも私ずっとこれだから、このままでいい」

もうお手上げ(-"-;)
心ならずもずっと“そのまま”をキープして、カットもパーマもかけていました。

一年ほどしてスタイリストが退職し、入店したのが若いイケメン美容師で。

それまでとなんだかお客様の様子が違うのが、明らかにわかるんです。
ホント、それまで仏頂面だったお客様も、なんだかオシャレしていそいそといらっしゃる(笑)

そして例の“髪質に反するヘアスタイル”をされるお客様が来店されたので、
新入りのイケメンが担当しました。
彼も私がアドバイスしたのと全く同じことを言った。すると

『あらぁ…じゃあそうしようかしら…(≧∇≦)』

そしてこのイケメン美容師の指名になった!5~6年フリー客だったのに!

この時ばかりはホント、美容師やってるのが馬鹿らしくなって、
それから1年後にこの店を辞めて、美容師も半年ほど休業した。
まぁ半年で別の店に復帰しましたが…

復帰した店のオーナーが、ちょっと頼りないがこれまたなかなかのイケメンで、この時の話をしたら

『ああ~、そうだよね。女性美容師って大変だと思うよ。
だって僕達、お客様の機嫌とってれば、すぐ指名になるもん。
僕はこの仕事に変わってから、凄くラク』

……………お前も言うか(-_-#)……ってかんじだが、これが現実だから仕方ない。

時は流れ………
今はあまり“男性美容師のほうが技術が上”とか“女性美容師はただの腰掛け”とか、
そういう世間の風潮は無くなったが、それでもイケメンがトクするには変わらない。
だってCMになるくらいですから。

きっと若い頃だったら、このCM見るにつけ、ムカついたでしょうねぇ(笑)

今ですか?
ええ、そんな理不尽な思いは何度となく経験し、
このCMが笑って聞き流せるようになりました。

そう、『女性美容師はヘタクソ』なんて、絶対言わせませんから!V(^O^)V

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